共謀罪はあまりにも問題が多いが、最大の懸念は一般市民への適用についてだろう。四月二十一日の衆院法務委員会では、盛山正仁法務副大臣が「一般の人が対象にならないということはない」と述べ、一般市民が対象になる可能性を認めている(後に修正)。とにかく警察が嫌疑をかければ、あらゆる団体やグループが「組織的犯罪集団」と見なされ、監視の対象とされてしまう。その線引きは警察の主観に依拠しており、極めて恣意的(しいてき)に行われる。 警察は共謀計画を事前に把握しようとするため、疑いをかけた集団を日常的に監視する。当然、ほとんどの一般市民は、警察に日常生活を監視されたくない。すると、特定の政治性を持った市民運動などに参加することをためらうようになる。ここに萎縮効果が発揮され、忖度(そんたく)が蔓延(まんえん)する。見えない力が作動し、権力への馴化(じゅんか)が浸透する。 高山佳奈子は「もし『共謀罪』が成立した