金融政策決定会合を終え、記者会見する日銀の黒田東彦総裁=日本銀行本店で2021年12月17日(代表撮影) 金融政策の罪と罰(6) 2020年3月19日、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、日経平均株価は日中1万6358円まで下落した。その10日ほど前、日本銀行の黒田東彦総裁は、日銀の保有する株価指数連動型投資信託(ETF)の損益分岐点が1万9500円程度であることを明らかにしていた。保有残高約29兆円のETFに、4兆~5兆円の含み損が生じていた計算になる。 19年9月末時点の日銀の資本勘定は、3.3兆円だった。このほかに債券取引損失引当金などの引当金が計6.0兆円あったが、使途が限定されている。一般の企業会計に近い考えをとれば、引当金は「自己資本」に含めないのが適当だろう。期中の収益を加味しても、自己資本と含み損は同額に近く、実質債務超過に近い状態にあったようにみえる。 その後、株価が急反