勤務初日を迎えた若い女性に、上司は「見ていて」と言う。上司はラジウムが配合された発光塗料の小瓶を開け、細長い筆を白緑色のとろりとした液体に浸す。その筆を唇に軽く挟んだあと、筆の先を時計の文字盤につけて数字を描いていく。そして「簡単でしょう?報酬は時計1個につき1セント。優秀な子は1日に200個も作るの」と新人に語る。このシーンは、1920年代の米ニュージャージー州を舞台にした2018年の映画「ラジウム・ガールズ」の冒頭のワンシーンだ。 この脚本は、実在したラジウム・ガールズの物語に基づく。ラジウム・ガールズとは、時計メーカーの工場でラジウム夜光塗料を文字盤に塗っていた若い女性労働者のことだ。作業に正確を期するため、彼女たちは口で筆の先を整えるよう指示されていた。そのため、筆を口に含むたびに少量の放射性塗料を摂取したのだった。 ラジウム入りコンドーム ラジウムは20世紀初頭、輝度の高さから時
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