そもそもフラッシュメモリーのセルにはなぜ寿命があるのだろうか。本章では技術的な背景をもう少し深く掘り下げて、寿命が生ずる原因を解き明かしていく。 フラッシュメモリーを構成するセルを横からの断面図で見ると、シリコン基板上に絶縁体の浮遊ゲートが重なっている(図13)。シリコン基板上には電子が流れるソース領域とドレイン領域があり、浮遊ゲートの上に設けた制御ゲートによって、電子の流れをコントロールする。 図13 フラッシュメモリーの最小単位であるセルの断面図。ソースとドレインの間に電気の流れを作り、制御ゲートあるいは基板から高電圧をかけることで電子を引き込んだり、放出したりする。一般に、浮遊ゲートに電子がある状態を「0」、電子がない状態を「1」と表現する。電子が絶縁体を通るのは量子力学のトンネル効果のため データを読み書きする流れは次の通りだ。書き込み時は制御ゲートに高め(20V程度)の電圧を与え
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