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ブックマーク / serpentsea.blog.fc2.com (3)

  • 日影丈吉『猫の泉』

    日影丈吉『の泉』(『恐怖博物誌』出版芸術社 1994 ふしぎ文学館 所収) 南フランスに滞在していた日人写真家の「私」は、不思議な町の話を耳にする。それは「ヨン」という谷間の辺鄙な町だった。住民はチベットとともに自給自足の生活を営んでいるという。興味を覚えた私は道すがら聞き込んだあやふやな情報を頼りに、中世の町並みを残す小さな集落に辿り着いた。 この300年の間にヨンの町を訪れた外の人間はごくわずかで、私はちょうど30人目にあたるらしい。町には10人ごとの旅人に大時計の鐘の音を聞かせ、町の運命を占わせるという奇妙な習慣があった。私は滞在と撮影の許可を得るため、その役割を果たすことになった。 月が出た。広場の枯れた泉のほとりには、が群れをなしている。私は大時計の鐘の音に耳を傾け、感じたままをたちに向かって語った。「去れ、若者よ。洪水、大時計」、それを言い終わった時、群れのなかの一匹

    日影丈吉『猫の泉』
    savage2
    savage2 2021/11/13
  • 読書メモ(怪奇系多め/ネタバレあり)

    MODEL Art (モデルアート) 2023年 5月号 No.1108 最近通販を利用しているため店頭に並んだ誌を見れてないのだけれど、グレーのA-10の機首を大きく配したモノトーンの表紙はかなり目立っていたのではないかと思う。5月号の特集は「A-10 サンダーボルトⅡ」。表紙のA-10はアカデミーの最新の1/48キットで、特集のメインになっている。なにげにアカデミーのキットがでっかく表紙に載るのって初めてな気がする(あやふや)。 特集の作例はそのアカデミーのキットを筆頭にタミヤ1/48、ハセガワ1/72の3例。いにしえのA-10特集と比較すると少々物足りない作例数だが、それぞれ異なったアプローチで仕上げられた作例は見応えがあった。特にハッチオープン状態のハセガワ「1-10C」はとても1/72とは思えない出来。A-10のマーキングというとシャークティースの印象が強いけど、この作例のス

    読書メモ(怪奇系多め/ネタバレあり)
  • 萩原朔太郎『猫町』

    萩原朔太郎『町』(中島河太郎, 紀田順一郎編『現代怪奇小説集〈上〉』立風書房 1978 所収) 萩原朔太郎は大正から昭和のはじめにかけて活躍した、日を代表する詩人。この『町』は著者の数少ない小説のひとつで、アンソロジーに収録されることの多い作品だ。著者は探偵小説好きとしても知られていて、江戸川乱歩との交流もあった。職の詩の方でも探偵や殺人事件をモチーフにした作品をいくつも発表している。 書の巻末に収録されている編者紀田順一郎の『日怪奇小説の流れ』に詳しいが、当時の「広義の探偵小説」には推理やパズルの要素を主題とした小説ばかりではなく、怪奇小説や幻想小説なども含まれていて、作者も読者の数も後者の方が多かったという。きっと萩原朔太郎も後者をより好んだのではないかと思う。 江戸川乱歩の評論集『幻影城』には、この『町』が少々異例な扱いで取り上げられていて、アルジャーノン・ブラックウッ

    萩原朔太郎『猫町』
    savage2
    savage2 2021/11/13
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