山の中にあるマンガン採鉱場にたどり着くのには、35分ほどかかった。黒海沿岸の国ジョージア(グルジア)で活動する写真ジャーナリスト、ダロ・スラカウリ氏は防護用ヘルメットをかぶり、鉱山作業員とともに、長さ13キロの鉱山鉄道に乗り込んだ。彼らが従事しているのは、世界で最も光が当たらない仕事の1つだ。 トンネルはところどころのカーブで急に狭くなるため、車両から身を乗り出すと危ない。途中で真っ暗になることもある。だがスラカウリ氏が最も閉口したのは、トンネル内の空気の悪さだった。重たく、じめじめして、圧迫感がある。「じっとしていれば慣れるよ」と、ベテランの作業員たちが慰めた。