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ブックマーク / book.asahi.com (6)

  • 「君たちはどう生きるか」宮崎駿監督が、新作映画について語っていたこと。そして吉野源三郎のこと|好書好日

    宮崎駿監督の新作「君たちはどう生きるか」ポスター=スタジオジブリのTwitterより 「私自身、訳が分からない」 「おそらく、訳が分からなかったことでしょう。私自身、訳が分からないところがありました」。 2023年2月下旬、東京都内のスタジオで上映された、「君たちはどう生きるか」の初号試写。米津玄師の歌うピアノバラードが流れ、エンドロールが終わった瞬間、灯りが点き、宮崎駿監督のコメントが読み上げられた。 客席から軽い笑い声が漏れた。私もその一人だった。あまりの展開の速さと、盛り込むだけ盛り込まれた情報を消化しきれず、茫然と座り込んでいたが、その言葉で我に返った。 これは「宮崎アニメ」の集大成なのか、吉野源三郎の著書『君たちはどう生きるか』の再解釈なのか。とにかく、1回見ただけではとても全容を把握できなかった。 「自分のことをやるしかない」 今回の作品は、公開前のプロモーションも、メディア関

    「君たちはどう生きるか」宮崎駿監督が、新作映画について語っていたこと。そして吉野源三郎のこと|好書好日
  • 朝日新聞「平成の30冊」を発表 1位「1Q84」 2位「わたしを離さないで」 3位「告白」|好書好日

    1位 『1Q84』(村上春樹、新潮社、2009年) 『1Q84』はBOOK1・2が平成21年、翌年BOOK3が刊行された。夜空に二つの月が浮かぶ「1Q84年」の世界で、10歳で離ればなれになった青豆と天吾が再会するまでの物語。カルト教団も描かれたことで、高い注目を集めた。毎日出版文化賞。21年の年間ベストセラー第1位(日販調べ)で、単行・文庫の累計部数は約860万部。 京都大教授の中西寛さんは「平成時代において最も注目を集めた文芸作品。野茂英雄が野球の世界で行ったように、日語文学の世界性を意識させた」と解説する。コラムニストの堀井憲一郎さんは「平成時代は『村上春樹の時代』でもあった。この書籍に対する期待度と売れ具合は尋常ではなかった。日常生活でふつうの人が小説を話題にできた最後の作品だったかもしれない」と評価した。文筆家の青木奈緒さんも「平成の日の世相を描いた、平成を代表する小説」と

    朝日新聞「平成の30冊」を発表 1位「1Q84」 2位「わたしを離さないで」 3位「告白」|好書好日
  • 「兵士とセックス―第二次世界大戦下のフランスで米兵は何をしたのか?」書評 戦争が誘発する性暴力とは|好書好日

    兵士とセックス 第二次世界大戦下のフランスで米兵は何をしたのか? 著者:メアリー・ルイーズ・ロバーツ 出版社:明石書店 ジャンル:社会・時事・政治・行政 兵士とセックス―第二次世界大戦下のフランスで米兵は何をしたのか? [著]メアリー・ルイーズ・ロバーツ 1944年夏、フランスのノルマンディー。ここで米軍が行った上陸作戦は、しばしば軍事的側面からのみ取り上げられる。その後のフランスで、米兵がどのような生活を営んでいたのかについては、ほとんど焦点があたらない。書は、性という観点から、第二次大戦下の米仏関係を読み解く一冊。三部構成で、一部では「恋愛」を、二部では「売買春」を、三部では「レイプ」を取り扱っている。 ノルマンディー作戦は、ナチスからフランスの女の子たちを救い出し、キスの嵐で迎えられるといったジェンダー表現でたびたび受容された。この物語はフランスに対する支配意識とも結びつき、兵士た

    「兵士とセックス―第二次世界大戦下のフランスで米兵は何をしたのか?」書評 戦争が誘発する性暴力とは|好書好日
  • 「江戸日本の転換点」書評 列島改造!! 成長の限界に直面|好書好日

    江戸日の転換点 水田の激増は何をもたらしたか (NHKブックス) 著者:武井 弘一 出版社:NHK出版 ジャンル:新書・選書・ブックレット 江戸日の転換点―水田の激増は何をもたらしたか [著] 武井弘一 明治以後、江戸時代の社会は、概して否定的に見られてきた。それが参照すべきものとして見られるようになったのは、むしろ近年である。それは、戦後日で、「日列島改造」と呼ばれた経済の高度成長があったあと、成長の停滞とともに、環境問題など、さまざまな矛盾が露呈してきたことと関連している。そのため、江戸時代に、低成長で持続可能な経済のモデルが見いだされるようになった。 書が覆すのは、江戸時代にそのように静的な社会があったという見方である。実は、17世紀に日中で、新田開発が進められた。見渡すかぎり広がるような水田の風景が生まれたのはこの時期である。それまで水田は主として山地にあった。これこそ

    「江戸日本の転換点」書評 列島改造!! 成長の限界に直面|好書好日
  • コラム別に読む : 統計学を知る 佐藤俊樹さんが選ぶ本 - 佐藤俊樹(東京大教授・社会学) | BOOK.asahi.com:朝日新聞社の書評サイト

    ■どんな場合に使えないのか 統計は今、何度目かのブームにある。「最強」と謳(うた)うが30万部も売れ、一般の人向けのセミナーも好評のようだ。私も大学では1・2年生向けの統計を担当しているが、4、5年前から学生の数が急増して、教室と教員の手当てに毎年汗をかく。 「統計」の2文字には神秘的な魔力があるらしい。よく知らない人も、いやむしろ知らない人ほど変に持ち上げたりする。 ■ブームの切実さ しかし、今回のブームはもっと切実な中身があるようだ。今の私たちは、良い意味でも悪い意味でも、リスクとつきあって生きていかざるをえない。この数年で、そのことを痛いくらい経験させられた。 金融や市場の開拓だけでない。例えば「原発は絶対安全だ」と信じようとしたり、「減災よりも防災、防災よりも地震予知」と、リスクをリスクとして見ないようにしてきた。それがかえって大きな被害をうむことがある、と気づかされたのだ。そう

    コラム別に読む : 統計学を知る 佐藤俊樹さんが選ぶ本 - 佐藤俊樹(東京大教授・社会学) | BOOK.asahi.com:朝日新聞社の書評サイト
  • インタビュー : 期待が根拠、それがお金 経済学者の岩井・東大名誉教授 | BOOK.asahi.com:朝日新聞社の書評サイト

    アベノミクスの下、「次元の違う金融緩和」で、世の中にお金があふれ始めた。株式市場はわき、景気が上向く兆しがでている。「期待」に左右される市場経済は、随分気まぐれにみえる。経済学者の岩井克人・東大名誉教授に、「お金と期待の関係」を聞いた。 ――人の期待はそんなにあてになりますか? 「実は、お金と期待の関係は、資主義の質にかかわる問題です。3年ほど前にベルリンであった『貨幣とは何か』を討議する学際的な会議に招かれたが、ギリシャ古典の権威の学者の発表が興味深かった。テーマは『なぜ古代文明の中で、ギリシャだけが私たちに近いのか』。ギリシャ悲喜劇は現代人にも感動を与え、民主主義の原型も、哲学も、現代につながる科学もギリシャでつくり出された。彼の答えは、公共的な討議の伝統でもアルファベットの使用でもなく、『世界史で初めて格的に貨幣を使った社会だった』というものでした。私のような経済学者が言うと我

    インタビュー : 期待が根拠、それがお金 経済学者の岩井・東大名誉教授 | BOOK.asahi.com:朝日新聞社の書評サイト
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