道を歩いていて、ふとなにかが気になって、戻って見直したら財布だった。私はいつもぼーっと歩いているので、財布を拾ったのはこれが人生はじめての経験だ。 近くに派出所がなかったので、駅前の交番まで届けにいった。 交番にいたのは気のいいお巡りさんで、すまなさそうに、落し物の届出にはいくつか手続きがあるのだといった。 まず、私の見ている前で財布の中身を確認する。現金はそれほど入っていなかったが、運転免許証と数枚のキャッシュカード、なにかの資格の証明カードがあった。 次に、持ち主が現われなかった場合に所有権を主張するかを訊かれた。この権利は放棄することもできるということなので、その欄にチェックしてサインした。 驚いたのは、その後に、謝礼を受け取りたいかどうかを訊かれたことだ。そんなのは本人の気持ち次第で、警察が関与する必要はないと思ったからだ。 「それが最近、いろいろ大変なんですよ」 お巡りさんが、困
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