このように個人情報を把握できる中国共産党が、武漢市で原因不明の肺炎が発生していることを早い段階で認知できないはずはない。中国の検索サイトでは「2019年12月8日に武漢市は原因不明のウイルス性肺炎に感染した患者を初めて確認した。その後も原因不明の肺炎の症例は増えている」とする中国メディアの報道が確認できる。ところが、中国当局がWHO中国事務所に病例を報告したのは12月31日である。 病院に改造された中国・武漢市の施設 ©AFLO 疑問は、中国共産党支配を揺るがす可能性を秘める新型肺炎発生・感染拡大の情報が、実際は遅滞なく習近平氏に伝わっていたのか、ということだ。ここでは二つのケースが考えられる。 (1)武漢市幹部が保身のために、中央に報告するのを遅らせた (2)武漢市から報告があったが、党中央がその重大性に気づくのが遅れた 「早い段階で対応していた」は嘘かもしれない 筆者は、次の理由から(