安楽死はなぜ「希望」なのか――スイスに渡った彼女の選択 『安楽死を遂げた日本人』 この記事は掲載から10か月が経過しています。記事中の発売日、イベント日程等には十分ご注意ください。 「安楽死は私に残された最後の希望の光です」 昨年8月、筆者にメールが届いた。 〈寝たきりになる前に自分の人生を閉じることを願います〉 送り主は、全身の自由を失う神経の難病を患い、いずれ胃ろうや人工呼吸に頼ることになる女性だった。 彼女は、寝たきりになる前に、死を遂げたいと切望する。 彼女は、筆者が前作『安楽死を遂げるまで』で取材したスイスの安楽死団体への入会を望み、そして、こう続ける。 〈私が私であるうちに安楽死を望みます〉 筆者は、彼女と面会し、彼女のスイス行きへの思いの強さを知った。 彼女は言った。 「死にたくても死ねない私にとって、安楽死は〝お守り〟のようなものです。安楽死は私に残された最後の希望の光です