トマトは食卓で非常に馴染み深い植物だが、農業生産現場はある課題を抱えている。それを、科学の力で解こうとしているのが、筑波大学つくば機能植物イノベーション研究センターの有泉亨准教授だ。「ゲノム編集」という最先端技術を使って、研究成果を社会実装につなげる取り組みを紹介する。 トマトは世界的に、食卓で人気のある野菜のひとつだ。各種のビタミンをはじめ、栄養素や機能性成分を多く含み、健康にもよい。たとえば赤い色素の一つ「リコピン」は、がん予防などの効果がある。 その生産量は、生食用や加工用などさまざまな用途に向けて、世界175ヶ国で年間1億5,600万トン以上ある。果実を食する果菜類のなかで、もっとも多く生産されている。なお、トマトはナスやピーマンなどと同じくナス科に分類される。 このように、健康効果もあって人気のあるトマトだが、その生産現場には課題がある。それは、いかにして果実を実らせるかだと有泉