前回見たように、私たちが意識的に自分自身の眼で品定めをする経験が減り、「値札」や「相場」など他人の提示する「価格」に大きく惑わされるようになったのが、「価格という名の幻」が登場した原因でした。だから、本当の「質」に見合った「価格」を考えることが大事なのでした。 しかし、この「幻」の背景には私たちの経験不足だけでなく、実はもうひとつ別の大きな原因があります。 それが「道徳」です。 今日はそんなお話です。 *善い仕事、悪い仕事 ここに、道徳的に善い仕事と、道徳的に悪い仕事の2つがあるとします。 ――あなたはこのどちらを評価しますか? と尋ねられたらほとんどの方は前者を選ぶことでしょう。 では次の質問です。 ――あなたはこのどちらがより高い報酬をもらうべきと考えますか? と尋ねられたら、いかがでしょうか。 これも、おそらくは前者を選ぶのではないでしょうか。 では。 ――あなたが善いことをしたとし