ブックマーク / tojikoji.hatenablog.com (7)

  • 【書評】中国のSF作家はどれだけ未来を見ているんだよ…『折りたたみ北京 現代中国SFアンソロジー』 - Under the roof

    折りたたみ北京 現代中国SFアンソロジー (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ 5036) 作者: 郝景芳,ケンリュウ,牧野千穂,中原尚哉,大谷真弓,鳴庭真人,古沢嘉通 出版社/メーカー: 早川書房 発売日: 2018/02/20 メディア: 単行(ソフトカバー) この商品を含むブログ (3件) を見る 『紙の動物園』『母の記憶に』の両方がとんでもなく面白かったケン・リュウが選出したSF短編集。で、これもまた全作品ハズレなしの最高の短編集だった。 そもそも中国SFとはなんぞやと。SFの世界に中国風のドラゴンや拳法とかが出てくんのかななんて安易な発想してたんだが、こんな想像に対して書冒頭においてケン・リュウ自身が「序文」として、 “100人のさまざまなアメリカ人作家や批評家に、"アメリカSF"の特徴を挙げるよう頼むところを想像してみてください──100の異なる回答を耳にするでしょう。おなじこと

  • 【書評】確かに全て裏切られたミステリー『その女アレックス』 - Under the roof

    その女アレックス (文春文庫) 作者: ピエールルメートル,橘明美 出版社/メーカー: 文藝春秋 発売日: 2014/09/02 メディア: 文庫 この商品を含むブログ (137件) を見る 流石『このミス!』1位。 小説読むならミステリーよりSF派の僕でも、見事に引き込まれてしまった。 前述のとおり、僕は普段SFばかり読んでいて、あまりミステリーは読まないんだが、『このミステリーがすごい!』とかで評判がいい奴は個人的にハズれたことがないので、数か月に1冊とか気が向いたときに読むようにしている。 で、書は『このミステリーがすごい!2015』で海外編1位となった作品。 海外ミステリで初の6冠達成とか、書きっかけで作者のピエール・ルメートルの同シリーズミステリが翻訳出版されて、屋さんでずっと平積み状態で売られていたりと、とにかく中身以外の前評判だけでも凄まじい作品。 帯にも『あなたの予想

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  • 【書評】人生は有限だということを忘れないために『タタール人の砂漠』 - Under the roof

    タタール人の砂漠 (岩波文庫) 作者: ブッツァーティ,脇功出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2013/04/17メディア: 文庫この商品を含むブログ (22件) を見る 通して読んだのは3回目だけど、やっぱりすごい。 僕は、大学を卒業後、2年間を所謂「ブラック企業」で働いていた。 月150時間の残業。有給休暇や夏季休暇なんかは取得できず、多少の体調不良なら休まず出勤していた。入社してすぐに「辞めたい」という言葉が頭の中の大半を占めていたが、結局そのまましばらく働き続け、体と心が壊れかかっているのに気付き辞めた。気付くまで2年かかった。 その後1年間フリーターとして過ごし、26歳になる時に今の会社に就職。残業は月10時間以下、有給休暇や夏季休暇もしっかり取得できる環境に変わり、不満のない今の生活を手に入れることが出来た。もちろん給料は下がったが、総労働時間と照らし合わせて時給換算すると

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  • 【書評】取り残されたものたちの哀歌『ヒルビリー・エレジー』 - Under the roof

    ヒルビリー・エレジー アメリカの繁栄から取り残された白人たち 作者: J.D.ヴァンス,関根光宏,山田文 出版社/メーカー: 光文社 発売日: 2017/03/15 メディア: 単行(ソフトカバー) この商品を含むブログ (1件) を見る とても面白かった。Twitterのタイムラインで何度か見かけて、そのどれも評判がよかっただけのことはある。 書におけるヒルビリーとは、アメリカの中央よりもちょっと東側に位置する「ラストベルト(錆びついた工業地帯)」と呼ばれる、アパラチアから五大湖周辺の地域に暮らす白人労働者たちのことを指す。ほとんどが18世紀ごろ移住してきた「スコッツ・アイリッシュ(スコットランド、アイルランド系の人種)」であり、特に「田舎者」という意味を込めてヒルビリーと呼ばれている。つまりタイトルを直訳すると「田舎者の哀歌」ということだ。 著者もそんな「ヒルビリー」の一員であり、

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  • 【書評】SF+ミステリー+疾走感『ここから先は何もない』 - Under the roof

    ここから先は何もない 作者: 山田正紀 出版社/メーカー: 河出書房新社 発売日: 2017/06/20 メディア: 単行(ソフトカバー) この商品を含むブログ (1件) を見る エンタメ小説として一級品。 完成度云々じゃなくて、ミステリー色の高いSF設定の謎が、疾走感あるストーリーの展開とともに解けていく様は面白くて止まらなくなる。ボリュームはあるが、あっという間にストレスなく読み切れてしまう、まさにジェットコースター小説。 日が打ち上げた小惑星探査機は、火星近郊の小惑星『ジェネシス』にてサンプル回収するはずが、なぜか別の小惑星『パンドラ』へ着陸。そして回収したサンプルから発見されたのは、なんと『エルヴィス』と名付けられた化石人骨だった。なぜ、探査機は別の小惑星へと目標を変え、しかもその小惑星には人骨が埋まっていたのか… めちゃくちゃワクワクするプロットだけど、なんか既視感。 そう、

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  • 【今週のお題】秋の夜長に読みたい小説5選 - Under the roof

    今週のお題「読書の秋」 年中を読んではいるけど、「読書の秋」にはよりたくさんを読みたい、いや、むしろ夏よりも読書が捗っていつもよりたくさんが読めるんじゃないか?なんて考えてこの秋はいつもの倍ぐらいを読みまくってやろうといつも思うんだが、実際にはいつもと変わらないペースで読む、いつの間にか秋が過ぎ去って「たくさん読む予定だったのにな…」なんて虚しい感覚を味わったりする。 ただ、秋の読書に特別感があるのは間違いない。なので、ぜひ秋の夜長に時間を気にせず没頭して読んでほしい小説をいくつか紹介したいと思う。 ◆その女アレックス その女アレックス (文春文庫) 作者: ピエールルメートル,橘明美 出版社/メーカー: 文藝春秋 発売日: 2014/09/02 メディア: 文庫 この商品を含むブログ (157件) を見る まあ、やっぱり秋の夜長はミステリーということで、コレ。 ミステリーの醍醐味

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  • 2016上半期に読んだ本のベスト10冊 - Under the roof

    今週のお題「2016上半期」 上半期。光陰矢の如しで、もう当になにやったか覚えてない。仕事育児に忙殺された。 ただ、せっかくブログをやっているので、上半期に読んだでよかったものでもまとめてみようと思う。 小説とかのフィクションと、それ以外のノンフィクションを5冊ずつ。 ちなみに、作品の前に1.とか2.となってるけど、順位とかじゃなくて単純に読んだのが古い順にナンバリングしただけなのであしからず。 1.『太陽の簒奪者』 太陽の簒奪者 (ハヤカワJA) 作者: 野尻抱介 出版社/メーカー: 早川書房 発売日: 2005/03/24 メディア: 文庫 購入: 10人 クリック: 131回 この商品を含むブログ (168件) を見る Kindleの年末セールで買った小説。 僕は小説のジャンルとしてはSFが一番好きで、ハードだろうがソフトだろうが国内外問わず読む。 そんな僕がこういう有名作品を

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