旧優生保護法(1948~96年)下で障害者らが不妊手術を強制されていた問題で、聴覚障害を理由に不妊手術や妊娠中絶を強制されるなどした男女6人が9日、大阪市で記者会見し、「子供のいる友達がうらやましかった」「悔しい」と手話で訴えた。うち3人は国を相手に損害賠償請求訴訟を起こす意向で、「被害を受けた人は声を上げて」と呼びかけた。旧法をめぐる国家賠償請求訴訟の動きは広がりを見せている。【高木昭午、大久保昂】 聴覚障害者に対する強制不妊手術を全国調査している「全日本ろうあ連盟」(本部・東京都新宿区、会員約1万9000人)が主催。会見したのは、大阪府、兵庫県、福岡県に住む70~80代の男女6人で、うち5人は実名で応じた。
『生まれてくれてありがとう 目と鼻のない娘は14才になりました』(倉本美香/小学館) 大切な我が子に産まれつき障害があったら、親は何をしてあげられるのだろう。『生まれてくれてありがとう 目と鼻のない娘は14才になりました』(倉本美香/小学館)には、倉本氏が経験してきた我が子との日々や心の葛藤がリアルに描かれている。 倉本氏は日本航空在職中にニューヨークへ留学し、現地の日本人男性との間に女の子を身ごもった。しかし、生まれてきた我が子は無眼球症で、目がなかった。“幾千幾万の人たちに愛され、多くの人たちに生きる力を与えてほしい”との願いを込め、千璃と名付けた我が子。 この世で一番愛しい存在が先天性障害を抱えているという事実は、倉本氏の心に暗い影を落としていく。一時は母子共に屋上から飛び降りようとまで思った倉本氏を支えたのは人気アーティスト、DREAMS COME TRUEの曲と無邪気にはしゃぐ我
旧優生保護法(1948~96年)下で知的障害を理由に不妊手術を施された宮城県の60代女性が「重大な人権侵害なのに、立法による救済を怠った」として、国に1100万円の損害賠償を求めた全国で初めての訴訟の第1回口頭弁論が28日、仙台地裁(高取真理子裁判長)で開かれ、国は請求棄却を求めた。女性の弁護団団長は意見陳述で「子供を生み育てるという自己決定権を奪い取る手術で、憲法で保障された基本的人権を踏み
旧優生保護法(1948~96年)のもと、10代の時に不妊手術を強いられたとして国に損害賠償を求めて訴えを起こす意向の東京都内の70代男性が25日、会見で思いを語った。4月にも東京地裁に提訴する予定。同法をめぐっては、宮城県の60代女性が仙台地裁に提訴し、今月28日に第1回口頭弁論が開かれる。 旧優生保護法では、遺伝性疾患や精神障害、知的障害などと診断され、都道府県の審査会で適当とされた場合に本人の同意がなくても不妊手術ができた。被害者は、少なくとも1万6475人に上る。会見した男性には知的、身体的障害はないが、弁護団によると、児童養護施設にいた際に、法律が拡大解釈され、手術されたとみられるという。 「長い間、胸に閉ざし苦しんできた。自分の体、人生を返してほしい」。会見で男性は訴えた。 男性には2カ所の手術痕が残る。仙台市内の児童養護関連施設にいた中学2年の時、職員に連れられた病院で、説明も
厚生労働省が身体障害の認定を巡り、急速に進行する疾病による障害を早期に認定するよう求める通知を全国の自治体に出した。背景には、四肢がまひするなどの障害があったにもかかわらず身体障害認定されないまま亡くなった、小児がんの子どもたちの存在がある。遺族たちが改善を訴え、通知に至った。【宇多川はるか】 発症5カ月で死亡 「すぐじゃないと間に合わない」 身体障害認定は、医師の診断書などの必要書類をそろえて自治体に申請し、審査を経た後に身体障害者手帳の交付を受けるという流れ。認定基準は、身体障害者福祉法に基づいて種別ごとに国が定めるが、いずれも「一定以上で永続すること」を要件としている。 「一定以上の永続」は、自治体や医療機関では「症状固定」「障害固定」などと言われることがあり、障害が数カ月間変わらずに続くことを「固定」とみなす自治体もある。そのため、進行性で症状が変動する疾病による障害は、「永続性」
三鷹市は2018年度、発達障害児を育てた経験のある親が、ほかの発達障害児のいる保護者の相談に乗る「ペアレントメンター」事業を始める。自らの経験を踏まえ寄り添うことで、子どもの困難に気づき、悩む保護者らの安心感につなげ、療育や福祉サービスなどの情報も伝える。 市によると、発達障害児の親などでつくる市内の法人に事業を委託する。法人には研修で「聞き役・話し相手」としての技能を身につけたメンターがおり、まずは3人が保護者の相談に乗る。「個別」と「グループ」による相談日を毎月それぞれ1日ずつ設け、ともにメンター2人が個別は保護者1人、グループでは最大4人の相談に応じる。また、18年度中に新たに6人のメンター養成を目指す。市は18年度当初予算案に経費62万円を盛り込んだ。 文部科学省の12年の推計では、通常学級に通う公立小中学生の6・5%に発達障害の可能性がある。コミュニケーションが苦手だったり、臭い
拡大 「福岡おやじたい」発足4年 啓発イベントであいさつに立った「福岡おやじたい」のメンバーたち。マイクを握る理事長の吉田正弘さんと、息子の陸人さん(左から2人目) ●「福岡おやじたい」発足4年 一見して障害とは分かりにくい自閉症や知的障害のある子どもたち。彼らへの理解を深めてもらおうと、父親ら男性だけで活動するグループがある。その名も「福岡おやじたい」(一般社団法人、福岡市)。仕事上の幅広い人脈や行動力を生かし、啓発イベントや勉強会を企画。「だれもが互いに認め合う、温かい社会」を目指して活動する原動力とは-。 今月6日、同市東区のホール。「笑顔と絆のスクラム」と銘打ち、年に1度開催している啓発イベントに、本年度はダウン症の書家として全国的に知られる金澤翔子さん親子らを招き、700人以上を集めた。 そろいの青いTシャツで運営に当たったメンバーたち。冒頭、理事長の吉田正弘さん(61)はいつも
障害のある子供を育てる母親が悩みを語り合い、情報交換する会が昨年3月から月1回、県内で開かれている。障害児の母の会「KissA-きっさ-」。子供の行動が理解できなかったり、相談先が分からなかったり。そんな悩みに互いに寄り添い、ポジティブに生きるヒントをくれる。 ◆ストレス解消に KissAの生みの親は、障害を抱える息子を育てる、介護・リハビリ商品開発会社社長、栗本薫さん(42)=大和高田市。中学1年の長男(12)は2歳のときに自閉症、5歳のときには重度知的障害と診断された。 栗本さんは長男が3歳のときに通っていた児童福祉施設で、同じように障害児を育てる母親たちと知り合った。「うちの子すぐ壁たたくけど、どうしたらいい?」「おねしょが止まらないの」。施設では週1回、母親同士が語らう場が用意され、悩みを気軽に話すことができた。「障害児を育てるというと暗いイメージをもたれがちだけど、そこは明るい雰
障害児を育てる親が自ら、障害児を預かる施設を立ち上げるケースが相次いでいる。重症心身障害児や、日常的に医療的ケアが必要な「医療的ケア児」向けの施設は全国で大幅に不足。「なければつくればいい」という発想だが、行政にも対応を促す取り組みとなっている。 2児の母で看護師、施設を開所 茨城県ひたちなか市のビルにある多機能型重症児デイサービス「kokoro」。医療的ケアが必要な子どもたちがスタッフとプラスチック製ボールが入ったプールで遊んでいた。 施設を運営する社団法人の代表理事を務める紺野昌代さん(39)は、長女の蘭愛(れな)さん(13)と次男の愛聖(まなと)くん(10)が原因不明の難病で寝たきり。胃ろうから栄養を取り、夜間は人工呼吸器が必要だ。 県内には子どもたちを預けられる施設が少なく、あってもベッドに寝かせきりになることも。子どもたちを義母に預けて小児専門の病院で看護師として働いてきたが、預
全国コンクール優秀賞の賞状とトロフィーを手にする小倉南特別支援学校PTAの広報委員=北九州市小倉南区若園の同校で、伊藤和人撮影 コンクールで全国2位 北九州市立小倉南特別支援学校(同市小倉南区若園4)のPTA新聞「ウェーブ」が、第66回全国小・中学校・PTA新聞コンクール(毎日新聞社など主催)のPTA広報部門で第2位にあたる優秀賞「トヨタ賞」を受賞した。知的障害のある子供を持つ保護者の不安や悩みに向き合う紙面が評価された。特別支援学校の優秀賞受賞は初という。 ウェーブは2002年創刊で年数回発行している。保護者の関心に応える紙面を作ろうと約8年前から特集コーナーを設置。広報委員約40人が「息子と一緒にいつまで入浴して良いか」など疑問や悩みを出し合い、各家庭の対応法を紹介し合うなどして毎回のテーマを決めてきた。
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