ノーベル平和賞受賞者で、チベット仏教最高指導者ダライ・ラマ14世(74)が、4月28日、亡命政府のあるインド北部ダラムサラの法王宮殿で毎日新聞の単独インタビューに応じた。和訳全文は次の通り。【聞き手・栗田慎一】 ◇慈悲や愛…「内なる価値」の重要性を学ぶ教育システムを Q 今、日本では、リストラ、過労、借金、職場や学校でのいじめなどを理由に、多くの人々が自ら命を絶ちます。日本社会は自信を失っているようにも見えます。毎日新聞を通じ、日本人、日本社会へのメッセージを頂けますか。 A 私は最近、シッキム(インド東部の州)から来た友人と会いました。シッキムは経済的に発展しましたが、そこで暮らす人々にギャンブルやアルコール依存症が増えました。ある者は精神的な不安を抱えています。西側諸国の友人も、そして多くの科学者も同じ状況にあります。現代社会は一般的に人間への慈しみや愛が欠けていると言われます。家族の