いにしえの偉人、達人の知恵と言の葉のエッセンスを、古典の名言、名文から汲み取り、分かち合うためのページです。日本精神文化を代表する能、茶道、武士道、俳諧、禅などの古典名著から毎回、名言・名句をピックアップ。解説とともにおすすめ作品の本文を現代語訳にて抜粋、ご紹介していきます。 ◆原文 御慈悲深く御座候1故、「御家中下々迄の上に、痛み候2事これなき様に。」と、兼々思召し上げられ候3。先年堀田玄春御雇分にて罷り下り居り候4節、東御屋敷にて月の御詠歌のため御座に御出でなされ、御次には玄春、藤本宗吟、恩田恕情罷り在り候5。水ヶ江のあたりに花火あがり候6を、玄春見つけ候7て、会釈仕り候8を聞し召され、御立ちなされ候9て、御次へ御出で、玄春へ仰せられ候10は、「其方は法度の様子存ぜざる事に候11。城下にて火の取扱はきびしき法度にて候12。今夜の事必ず沙汰仕るまじく候13。外に知れ候14へば、科申し付け