2008年に公開された『ダークナイト』で目立った感想が「単なるアメコミの枠を越えた良質なクライムムービー」というものである。これは、日本人の中でアメリカのヒーローコミックに対するなんらかの概念があって、それは「くだらない」とかいうたぐいのものなのだろうが、この文面には「アメコミヒーローもののくせにこんなに骨太な犯罪劇が出来てすごいなぁ」という意味合いが含まれている気がしてならない*1。 ところが当のクリストファー・ノーランは『ダークナイト』制作時にこんな事をインタビューで言っている。 「バットマンの映画を作る人間は必ず訊かれた事があるはずだ「どのコミックを参考にしたんですか?」ってね、答えは“全部”さ、ありとあらゆる作品に目を通すに越した事はない。でも私に監督就任を決心させたのはただ一つ『ロング・ハロウィーン』だけだ。一級のクライムストーリーだよ。ジェフ・ローブは、バットマンユニバースなら