中央官庁の官僚から教えてもらって記事を書く在京マスメディアは2016年に迫った国立大学改革による研究崩壊を理解できません。ところが今年の科学技術白書は「基礎研究力の低下が懸念」と明記しているのです。人文社会科学系や教員養成系の学部・大学院に対し社会的要請の高い分野に転換するよう見直しを迫った点だけがクローズアップされ、国立大を3ランクの枠組みに再編し、取り組みを評価した大学に運営交付金を重点配分する方針が持つ破壊的な作用が見えなくなっています。世界のトップクラスを目指す有力大学に資金が集中され、その他大勢は人件費も危うくなって研究どころではなくなるはずです。 文部科学省が作った平成27年版科学技術白書から論文数の世界シェアグラフを引用しました。2000年頃に10%くらいまで高まったシェアが最近は7%ほどに落ちています。第435回「2016年に国立大の研究崩壊へ引き金が引かれる」に掲げた論文