2013-10-08 「いつもの」「お気に入り」「定番化された毎日」は心の安定を約束する 昔々15年くらい前にテレビで見た、あるおじいさんの話が忘れられない。 そのおじいさんは黒を愛していた。 持ち物は全て黒にこだわっている。 ポロシャツも黒、ズボンも黒、頭にフィットしたニット帽も黒、靴下も黒、トランクスも黒である。 手帳も黒、カバンも黒、靴も黒、とにかく身につけるものは全て黒色に決めている。 おじいさんは脚本家だ。名前がわからないのが残念。 一日中、家の屋根裏部屋の自室にこもって執筆している。 テレビの取材班はその屋根裏部屋を訪れた。大量の本に囲まれた、秘密基地のような部屋だ。 机がある。 鉛筆がトレーの上に山盛りになっている。 全ての鉛筆が三菱uni。濃さは全てB。ナイフで丁寧に削っている。 ノートも全てメーカーを決めている。同じのしか買わない。 おじいさんはおばあさんと暮らしている。