十牛図はいわゆる牧牛図の一種で、我々の真の自己を牛に譬 えて、その牛を求め、捕まえ、馴らし、遂に求める自 分と牛とが全く一つとなり、それも忘れて只の生活が できる過程を画で示したものである。我々の修行の道程を 具象的に明示しているので、自分の修行を自ら点検し 策励の指標とするのに大変役立つものである。 そこでこの十牛図を参究することにより、常に皆様自 身の修行を自ら点検し、自分が今どの段階にあるかを 反省する指標として役立てて頂きたい。 十牛図の作者廓庵師遠禅師は、大随元静禅師(1065〜1135)の法嗣で、臨済禅師より第十二代目 の法孫であるというだけで、生年寂年はじめその伝記 ははっきりしていない。十牛図は十枚の図のおの おのにまず廓庵禅師が「頌」をつけ、その後その弟子慈遠 (一説では廓庵自身とも廓庵の友人とも云われる)が 「総序」と頌の一つ一つに「小序」をつけたもの と云われている