ミシェルが死んだ。おれが殺した。しばらく考え、セーブせずそのまま電源を切った。おれはショックで二時間ほど夜中の市街をさまよった。部屋に戻って再起動すると、そこにはミシェルが居た。死ぬ前のミシェルが。死ななかったミシェルが。選択し、選択されなかったほうの、電子の海に消えた平行世界で、しかしあのミシェルは死んでいた。黒こげになった車の前で、ニコは呆然と突っ立っていた。花でも置いてやればよかったのかもしれない。GTA に花屋はあるだろうか。わからないが、たぶんないだろうと思った。それがあるなら、セーブしてから電源を切ったかもしれなかった。 順番に書き出すと、以下のようなかんじになる。 ミシェルというのは、PC であるニコのガールフレンド。すでに何度かデートしていて、そろそろ好感度が上がってきたなーと実感できていた頃合い。 リトル・ジェイコブの運び屋ミッションを一仕事終えてからミシェルに電話、デー