日本がはまった罠 (Japan's Trap: クルーグマンのホームページで 1998.05 初公開) ポール・クルーグマン 山形浩生訳 日本の経済的な重病は、だれよりもなによりも日本自身にとっての大問題だ。でも、ほかの人たちにも、これは問題となる。機関車役を死ぬほど求めてる苦境のアジア経済にとっても、日本の貿易黒字のおかげで仕事がやりにくくなってる西側の自由貿易支持者にとっても。そして最後に(いちばんどうでもいいけど、でも無視できる存在じゃあない)経済学者たちにとっても、日本は問題なんだ。なぜなら、こんなことは起きないはずなんだもの。 ときどき象牙の塔から出てくるマクロ経済学者の多くと同じく、ぼくも実際のビジネスサイクルはリアル・ビジネスサイクルじゃないと思ってるし、一部の(いやほとんどの)不況は、全体としての総需要が落ち込むせいで起こるんだと思ってる。ぼくをふくめほとんどの学者は、こう