四国八十八か所のお遍路めぐりを題材にした漫画のKindle版。読んでいると、とても苦しい。 八十八か所には、全行程を歩きたい人のために「遍路みち」が用意されています。田んぼのあぜ道から山道、川べりなどをつたって歩いて行くこのみちは、とても趣があってすばらしい。とはいえ全行程は1200キロぐらいもあり、歩き通すのはたいへんな、日本屈指のロングトレイルです。すべてを一気に歩くのを「通し打ち」といい、だいたい40日ぐらいはかかるようです。 わたしは1999年の夏、新聞社を辞める直前に一番札所から二十二番までを1週間かけて歩いたことがあります。こういう歩き方を「区切り打ち」。いつかは残りを歩かなければなと思い、「それはふたたび人生の転機が訪れたときだ」と決めているのですが、あれから15年、幸か不幸か決定的な「転機」はとりあずまだやって来ていません。 さて、この漫画の主人公は2人。売れない漫画家の男