お正月は年一番の書き入れ時です。 大晦日、飛田新地に出勤すると、店にはマスターの作った鏡餅が飾られており、待機部屋のこたつには、早くもお節料理、お雑煮、みかんが並んで、テレビでは年越し番組が流れています。 こんなちゃんとしたお正月は初めてだったので、私はうきうきしました。 (それまで年越しはひとりで過ごすか、平安神宮で巫女のバイトをしていました。) 玄関から聞こえる賑やかな呼び込みと、部屋の女の子たちの準備の喧騒を横目に、頬を赤くした濃いめの化粧をします。 その日は大晦日でしたが、「ちょっと早いけど」とマスターからお年玉をいただきました。中身は新札の一万円。「ほいっ」と子供向けの可愛いポチ袋を手渡されて、子ども扱いされたのがなんだか嬉しかったです。 ちなみにこのお年玉は、三が日の間毎日手渡されました。 「えっ昨日いただきました」と言ったら「いらんねやったらうちがもらうわ」とおばちゃんが横か