新型コロナウイルスの「特効薬になるのではないか」として、抗ウイルス薬「アビガン」への期待が高まってきた。だが、副作用などへの懸念もあり、本当に大丈夫かとの声も消えない。これに関連し、薬害を監視する民間団体「薬害オンブズパースン会議」は意見書を公表し、注意を促している。どこに問題があるのか。懸念は払拭できるのか。同会議メンバーの隈本邦彦・江戸川大学教授(科学コミュニケーション・元NHK記者)に聞いた。 実態としては「承認されないはずの薬」 本題に入る前に「アビガン」(一般名:ファビピラビル)をめぐる流れを整理しておこう。 この薬は、富山化学工業(現・富士フイルム富山化学)が開発し、2014年に新型インフルエンザ用として承認された。2017年には国として200万人分を備蓄することが決まっている。 コロナウイルスの感染拡大後は、この4月に成立した2019年度補正予算にアビガンの備蓄追加が盛り込ま