ちょうど3年前、ベトナムのハノイで日本企業の社長が技能実習生を面接する場に同席したことがある。ベトナムやカンボジアからの技能実習生が日本で話題になっていた頃のことだ。現地で集めた技能実習生を日本に派遣する「送り出し機関」に私が到着すると、ベトナムの若者たちが温かく迎えてくれた。 部屋で待っていると、男性の候補者たちが入室してきた。彼らからすると人生が懸かっているので緊張が伝わってきた。自己紹介だけは日本語で、それ以降は通訳を通して面接が行われた。 日本の工場で働くことになるかもしれない彼らに対して、私は「なぜ日本で働きたいか」を問うた。 「日本の技術を習得して帰国したい」 「ベトナムに戻ったら、何をしたいのですか」 「食堂です」 そんなやり取りにずっこけもしたが、誰もが「一家を支えなければいけない」と語ってくれた。その真剣なまなざしが印象的だった。 面接を進めるうちに、「ベトナムに帰ったら