昔、フィリップ・ロスやナボコフの翻訳で知られる大津栄一郎のウィキペディアのページを見てみたら、「ナボコフの『賜物』の翻訳については若島正から『翻訳の世界』誌の「改訳したい小説ベスト10」で多数の誤訳を指摘されたため、「若島正氏に反論する」を同誌に寄稿し反駁した。 これに対する若島正の反論は『乱視読者の冒険―奇妙キテレツ現代文学ランドク講座』におさめられている」*1という文章が目に留まった。というか、著書や翻訳リストを除くと、それだけで全体の半分ほどが占められていて、ナボコフだけでなく、大津の翻訳そのものが酷いというような印象を与えている気がする。 若島正が改訳したい小説というのが気になって、とりあえず、『乱視読者の冒険』をめくったら、「ナボコフと翻訳」という章に、大津と論争に至った経緯は書いてあったが、「改訳したい小説ベスト10」が、『翻訳の世界』の何年何月号に掲載されたのかという情報は書