米文学史に名を刻む天才作家にして「推理小説の始祖」ポーは、なぜある時から突然、推理小説を書くのをやめたのか? 世界最高峰のミステリ賞〈エドガー賞〉(評論・評伝部門)で日本人初の最終候補、『謎ときサリンジャー』で小林秀雄賞受賞の稀代の〈文学探偵〉による世紀の「発見」とは。作家解釈をも揺るがす震撼の論考。 まえがき 序章――「犯人はお前だ」全文訳 第一章 挑発 オイディプス/なぜか真相を知らぬ村人たち/検討されない前提/二つのイタリクス/幻のワインの会話/謎の出題/手紙の日付と署名 第二章 矛盾 捜索を渋るグッドフェロー/語り手の変遷と屈折した計画/ペニフェザーとD大臣/村人たちの記憶力 第三章 未解決殺人事件 裏返された密室殺人/叙述トリックの核心/二つの死体/Here’s What Happened 第四章 鏡像 怪しい二人/半端な試み/半端な語り手/マトリョーシカ/ポー自身の「書き間違い