仲直りの理 作者:大坪庸介ちとせプレスAmazon 本書は進化心理学者大坪庸介による仲直りについての本である.仲直りの進化的な意味,究極因と至近因が非常に丁寧に解説されている. 「はじめに」において著者は夏目漱石の「坊ちゃん」における主人公と山嵐の間の対立と和解,シェイクスピアの「ロミオとジュリエット」におけるモンタギュー家とキャピュレット家の間の対立と和解のストーリーを引きながら,和解せずにいがみ合うことのコストの高さと,それにもかかわらず和解が必ずしも簡単ではないことに注意を促す.そしてそれをヒトの進化の文脈で考えていこうというのが本書のテーマになるのだ. 第1章 動物たちの仲直り 進化の文脈で考えるということで第1章ではヒトに近縁な霊長類の仲直りを描く.有名なドゥ・ヴァールの霊長類の仲直り研究の概要が紹介され,標準的手法となったPC-MC比較法(ケンカ直後の行動とコントロール条件での