偽の図面まで作る隠蔽工作に、工場長による隠蔽の決断──。三菱電機の品質不正について外部調査委員会がまとめた調査報告書(以下、報告書)。米国の安全規格であるUL規格*に関する不正が発覚した名古屋製作所可児工場(岐阜県可児市)への調査は、同工場の悪質な不正行為をつまびらかにしている。 UL規格不正があったのは、電磁開閉器「MS-N」シリーズと「MS-T」シリーズ(以下、NシリーズおよびTシリーズ)の部品(可接キャリア)と、「MMP-T」シリーズのマニュアルモータスタータ(配線用遮断器とサーマルリレーを一体化させた製品、以下MMS)。ULに認証登録した材料とは異なる材料を製品の量産に使ったり、未登録の工場で製造したりしていた。 三菱電機がUL規格への不適合品(以下、不適合品)を販売していた期間は合計で約27年間に及ぶ。不適合品の出荷台数はTシリーズとMMSを合わせて約233万台。これにNシリーズ