ダイハツ不正の衝撃(2) 「低コストで良質な自動車を提供するため、1ミリ1グラム1円1秒にこだわる」。車両認証試験で不正が発覚したダイハツ工業では、経営陣が社内でこんなスローガンを掲げていた。この経営方針が今回の不正にどう影響したのか。そこには、どの会社にもありがちな「悲しい現実」があった。 「1ミリ1グラム1円1秒にこだわる」とは、ダイハツが得意とする軽自動車の室内を1ミリでも広く、車重を1グラムでも軽くすること。そして、他社にないそんなクルマを1円でも安く、1秒でも早く開発・生産することだ。ダイハツはこれが「良品廉価なクルマづくり」につながると主張してきた。 ダイハツの歴代の軽を見ると、この経営方針が実際の商品に表れていることがわかる。 2003年発売の「タント」は、軽の既成概念を超える室内の広さでライバルを圧倒した。軽規格の限られた全長と全幅の中で、室内のスペースを最大限に確保。全高