音楽ゲーム史において、2021年は豊穣の年であったと記録されるかもしれない。国内のアーケード音楽ゲームだけを挙げても、タイトー『テトテ・コネクト』やアンダミロ『クロノサークル』という完全新規IPのリリース、セガ『CHUNITHM』やコナミアミューズメント『SOUND VOLTEX』の筐体ハードウェア変更を伴う大規模リニューアル、後述する音ゲーeスポーツの躍進など話題が盛り沢山。アプリゲームや家庭用作品、海外リリースも含めれば、概況だけでも数記事を要する勢いだ。 音楽ゲームは文字通り音楽や音楽活動を扱ったゲームであり、その豊穣は大量の楽曲リリースを伴うことになる。いまとなっては過去の一時期となるが、音楽ゲームの音楽という存在は、純粋な音楽として着目あるいは言及される機会が限られる側面があった。 近年、状況は変わり始めている。たとえば2018年に発刊されたコナミアミューズメントの音楽ゲームシリ