ジョン・バティステ、第64回グラミー賞授賞式にて(Francis Specker/CBS via Getty Images) 第64回グラミー賞で最多5部門を受賞したジョン・バティステ。作曲を手がけたディズニー&ピクサー映画『ソウルフル・ワールド』でアカデミー賞も獲得し、2021年のアルバム『WE ARE』で最優秀アルバム賞の快挙を成し遂げた彼が、特別なアーティストである理由とは。そして、今回のグラミー受賞はどんな意味をもつのか。ジャズ評論家の柳樂光隆に話を聞いた。(聞き手:小熊俊哉 構成:アボかど) 「ソーシャル・ミュージック」の思想 ―グラミー賞の受賞式から振り返ると、まずは「FREEDOM」のパフォーマンスが素晴らしかったですね。 柳樂:彼はいろんな側面をもつマルチタレントなアーティストじゃないですか。そういう本人の資質がキャッチーに表現されていたと思います。まずは厳粛な雰囲気でピア