認知バイアスとは「物事を感じとる、記憶する、考える」といった心の働きにおける “偏りや歪み” のこと。誰にでもあるもので、時に誤った判断や行動を引き起こす原因になるのだとか。 それなら、いっそのこと逆手にとってしまいましょう。今回は、記憶と関係が深い認知バイアスのひとつ、「気分一致効果」を活かす記憶術を紹介します。 人間の視覚・記憶は意外ともろい 青山学院大学教授で認知科学者の鈴木宏昭氏は、認知バイアスの説明のなかで「人間の視覚や記憶のもろさ」について次のように述べています(※以下、鈴木氏の説明に基づき脳科学辞典やシンク出版株式会社の解説を用いてまとめたもの)。 ▼ 視覚のもろさ 視覚・空間情報を保持する記憶貯蔵庫の「視空間スケッチパッド」は、一度に3〜5つほどの情報しか保持できない(色・形状・位置関係なども含む)。だから、視界に入ったものをあとで正確に再現するのは難しい。 人間の視野は2