カオス 足利尊氏によって室町幕府は開設されましたが、二代目の義詮(よしあきら)の段階までは、足利家が全国を統一したとはとても言えない状況でした。 そう、国家の最高権威である朝廷が北朝と南朝に真っ二つに分かれているという事態はまだ克服されていなかったのです。 この内紛に対して、政治家として、尊氏や義詮にはそれを解決できる力量を持ち合わせていませんでした。 これは、なにも尊氏や義詮が無能だったからということではなく、国家レベルの内紛であるがために、並の人間では簡単に治められる問題ではないからです。 ところが、これらを一気に解決へと導いたのが、怪物政治家と呼ばれた三代将軍・足利義満でした。 室町幕府史上もっとも巨大な権力を築いた義満。 でも現状に満足していなかったこの将軍は、なんと、天皇家の王朝を廃し、足利氏の王朝を創ろうとしたのです。 モニュメント 明徳3(1392)年、後小松天皇の勅命によっ