「上皇陛下の執刀医」として知られ、その手技から「神の手」とも評される天野篤医師が3月末をもって順天堂大学の医学部教授として定年を迎える。これからも心臓手術の現場でメスをふるい続けるという天野医師だが、医療界へ、また、若き医療者たちへどうしても伝えたいことがあるという。近著『天職』に綴った率直な心情を特別公開する──。(第2回/全2回) ※本稿は、天野篤『天職』(プレジデント社)の一部を再編集したものです。 教授退任セレモニーを断ったワケ 3月末、私は医学部教授としての定年を迎えます。2002年から勤務してきた順天堂大学医学部ですが、心臓血管外科学講座の主任教授という職からは退きます。 学校法人順天堂の理事職や、特任教授としての職務は続きます。また、順天堂医院の心臓外科医であることに変わりはありませんが、大学病院教授という医学教育機関の仕事には、ひとつの区切りをつけた思いでいます。 その日を