1月31 辻本雅史『江戸の学びと思想家たち』(岩波新書) 8点 カテゴリ:思想・心理8点 江戸時代の思想家をとり上げた本ですが、それぞれの思想家の思想を綿密に解説するのではなく、彼らがとった学びのスタイルと利用したメディアに注目して論じていることが本書の大きな特徴です。 同じく江戸の思想家をとり上げた本としては田尻祐一郎『江戸の思想史』(中公新書)があり、面白く読んだ記憶がありますが、『江戸の思想史』が儒学から蘭学までさまざまな人物をとり上げたのに対して、こちらは山崎闇斎、伊藤仁斎、荻生徂徠、貝原益軒、石田梅岩、本居宣長、平田篤胤ととり上げる人物をかなり絞っています。 その代わりに本書が注目するのは彼らの学び方であり、受容のされ方です。ここに注目することで本書は思想だけはなく、江戸時代の社会のあり方にまで考察を広めています。 日本史の教科書だとどうしても断片的にしかわからない思想家たちに、