『新しい星』(綾瀬まる・著) 大学時代、合気道サークルの友人同士だった男女4人の連作短編集。 青子、茅乃、卓馬、弦也、皆それぞれ困難な事情を抱えている。 女性同士の青子と茅乃の友情を軸に、30代から40代にかけてそれぞれの喪失や再生などが描かれている。 娘を生後2ヶ月で亡くし、絶望の中で失ったことばかり考えていた青子。 離婚をした夫とはよい恋愛よい結婚をし、それはよい出産よい子育てへと、道は真っ直ぐに続いていくのだと信じていた。 ある昼下がり、自分の手が娘の感触を覚えていることに突然気付く。 「自分はなくしたのではなく、あの素晴らしいものに2ヶ月も触れさせてもらったのだ。その感触を生涯失わないと感じたとき、あるとないとが反転し、生きられるようになった。」 「自分は失ったのではなく、得たのではないか。」 という青子の気付きからの、その発想の転換に、作品序盤から凄いなとハッとさせられた。 何か