自身の心を定めかねて、 寝てもさめても煩悶をするせいか、 次第に心がからだから離れて行き、 自身は空虚なものになっているという気分を 味わうようになって、 病気らしくなった。 源氏は初めから伊勢へ行くことに 断然不賛成であるとも言い切らずに、 「私のようなつまらぬ男を愛してくだすったあなたが、 いやにおなりになって、 遠くへ行ってしまうという気になられるのはもっともですが、 寛大な心になってくだすって変わらぬ恋を続けてくださることで 前生《ぜんしょう》の因縁を 全《まった》くしたいと私は願っている」 こんなふうにだけ言って留めているのであったから、 そうした物思いも慰むかと思って出た御禊川《みそぎがわ》に 荒い瀬が立って不幸を見たのである。 少納言のホームページ 源氏物語&古典 syounagon-web ぜひご覧ください🪷 https://syounagon-web-1.jimdosi