夕張メロンの産地として知られる北海道夕張市は、かつて日本を代表する炭鉱の街であり、産出した石炭を室蘭港や小樽港に向けて積み出す運炭鉄道に端を発する鉄道が、市内を縦横無尽に走っていた。しかし、1960年代にエネルギー政策が石炭から石油中心へと転換されると、炭鉱の街は徐々に活気を失い、人口減少とともに鉄道も消えていった。 三菱石炭鉱業大夕張鉄道の南大夕張駅跡に保存されているラッセル車「キ1」と客車・貨車 現在、鉄道廃線跡は夕張の観光資源のひとつになっている。今回は夕張のおもな観光名所を巡りながら、鉄道の走った痕跡を確かめていきたいと思う。 ■かつて、夕張を走った鉄道 まずは夕張の場所を確認しよう。夕張市は札幌市の東およそ50kmに位置する。すぐ東には、夏の雲海や冬のスキーリゾートで知られるトマムがある占冠(しむかっぷ)村、北東にはラベンダー畑などで知られる富良野市がある。 北海道の空の玄関口・