私は、売買春の歴史を示す遺構や遺物を保存すべきと考える一人です。鯛よし百番のように『売春防止法』施行以前に使われていた娼家もその一つです。こうした考えを持つ私が、掲題のプロジェクトに協力する機会を頂戴しました。 関わる一人として、遊廓にまつわる歴史的遺構をどう残すべきか? なぜ残すべきなのか? について、以下の2点に集約して私なりの言葉に置き換えてみたいと思います。 ・遊廓の歴史は「保存」にシフトする ・ポジティブな言い換えは、実らない (売買春として表面化する社会問題を便宜上「売春」ないし「売春問題」と書く。また断りのない限り、売春問題は売防法公布以前から施行直後の時代を前提とする) 消える娼街の名残り売春問題の解消を推し進める過程で、問題の本質ではないものの、周辺にあるとの理由から、その流れに巻き込まれて姿を消していった様々なものがあります。「周辺」の具体例は、娼家を始めとする建造物や