ポップ・アートとしての歌謡曲を変革し続けた〈イントロの魔術師〉 筒美京平氏逝去をきっかけに、今改めて熱い注目を集めている昭和歌謡。そんなタイミングでファンを唸らす素晴らしい集成ボックスが登場した。70年代から今日まで萩田光雄と共に歌謡界最強の編曲家として活躍してきた船山基紀の仕事をまとめたCD4枚組(全72曲)『船山基紀サウンド・ストーリー~時代のイントロダクション~』だ。元々編曲も自分でやっていた筒美は70年代半ば以降は編曲を随時他人に任せるようになったが、とりわけ篤い信頼の下で頻繁に起用されたのが萩田と船山だった。世界に冠たるポップ・アートとしての昭和歌謡は、大胆にして複雑精緻な編曲あってこそ完成されたわけで、もし筒美、萩田、船山の3人がいなかったら、その形は今とは全然違うものになっていたはず……そう言い切ってもいいほど、彼らの業績は偉大だ。 「萩田君は、僕が思っていた通りのアレンジを