私立学校法により、建学の精神や独自の校風といった自主性が尊重される私立校。文部科学省は公立校と同様に特別支援教育の推進を求めているが、態勢づくりには学校間で温度差があるのが実情だ。問題行動を起こした児童を退学処分とする前に、どこまで対応すべきなのか。今回の訴訟は、私立校の特別支援教育に一石を投じそうだ。 「発達障害児がいないので、発達障害に関する態勢整備や教員研修はしていない」。九州の私立小の管理職は打ち明けた。教員研修はしている九州の別の私立小関係者も「専門性のある教員はおらず、ごく一般的な対応しかできない」。公立校で特別支援教育を受けるため、自主的に転校する例はあるという。 文科省は2007年の通知で、私立も含めた全ての学校に障害児の支援などを検討する校内委員会や、特別支援教育の中心となるコーディネーターの設置を求めたが、現在でも浸透しているとは言いがたい。 文科省の17年度調査による