「夢のようだ」 長年の懸案が解決し、喜ぶシングルマザー。 税制改正で、「未婚」のひとり親にも、配偶者と「死別」や「離婚」したひとり親と同様に、所得税や住民税の軽減措置が適用されることになった。 ようやく破られた壁。その舞台裏に迫った。 (古垣弘人) 「差別しないで」 「未婚のひとり親を差別しないでください!」 「子どもたちを差別しないでください!」 税制改正をめぐる議論が大詰めを迎えていた去年12月10日。自民党本部の9階に、シングルマザーたちの声が響いていた。 自民党税制調査会の小委員会が開かれる部屋の前。彼女たちの表情は、切実そのものだった。 税金で「差別」 プラカードを掲げていた1人、大谷利恵さん(37)。 東京都内に住む大谷さんは、小学6年生の1人娘を持つ未婚のひとり親だ。 妊娠6か月のころ、当時、結婚予定だった男性の態度が変わったという。 結局、結婚はせず、25歳でひとり親となっ