「残念です。あと30分早かったら、なんとかなっていたんですが……」 元祖ドラえもん声優として知られる大山のぶ代さん。当時30代だった彼女を襲った、その後の人生を大きく左右する「人生最大の悲劇」とは? パートナーで、俳優の砂川啓介さん(2017年逝去)の著書『娘になった妻、のぶ代へ』(双葉社)より一部抜粋してお届けします。(全2回の1回目/後編を読む) 運命を大きく左右した「人生最大の悲劇」 僕たち夫婦には、子供がいない。いや、正確に言えば、僕たち夫婦はこれまでに二度、新しい命を授かっている。けれども、その後、二人の運命を大きく左右する、人生最大の“悲劇”が、僕たちに訪れるのであった……。 最初の妊娠は、結婚直後――。ペコ(大山のぶ代さんの愛称)が32歳、僕が29歳のときのことだ。もともと子供が大好きだった僕は、カミさんの妊娠報告が嬉しくて仕方なかった。その事実を知らされたときの興奮といった