おとつい地面から顔を出したばかりの彼岸花。 昨日はまだつぼみだったのに、もう満開。 秋は猫のように足音を盗んでやってくる。 そうろり そろり。 夏のしっぽのすぐうしろに、秋の鼻先が続いている。 そうろり そろり。 暑さの残る空気に秋の匂いが混じる。 刈り取られた稲の匂い。 掘り起こされた土の匂い。 野焼きの煙。 ぴい、ろろろろ。 ぴい、ろろろろ。 高い空をとんびがゆく。 秋の風が通り抜けていく。 ゆっくりゆっくり。 静かに確実に時は移ろう。 赤い郵便受けにトンボが止まる。 朝には白かった酔芙蓉の花が薄紅色に染まる。 夕暮れが早くなったね。 ◇*◇*◇ ^・_・^ ……。 無言でこちらを見つめるチビたん。 なんですか、おやつのお代わりですか。 朝ごはんを食べて、 水溶きちゅーるを飲んで、 朝ごはんのお代わりを食べて。 そのあとさらにおやつを食べましたよね。 おやつのお代わりもしましたよね。