人生の大きな試練のひとつが「親の介護」だ。10年間の介護の末に父を看取った風見しんごさんは、「父親が65歳で若年性認知症と診断されたときは、目の前が真っ暗になった」と語る。 「母が脳卒中で倒れて介護が必要になり、その母を看取って3年ほどしかたっていませんでした。もう介護は終わったと思っていたので、『まさか』と途方に暮れました」 「最近、物忘れがひどい」という父親の呟きを聞き流していた風見さん。だが、地元・広島の知人から「戻ってこい」と言われ、久しぶりに再会した父親の目を見たときに不安に襲われたという。 「息子だからわかる部分もありますが、もう自分の知る父ではなくなっていました。『これから、自分たちの生活はどうなってしまうのか?』とパニックになりました」 当時、風見さんは41歳の働き盛りで、次女が生まれたばかり。 「ただ、幸運だったのは、幼なじみの医師が相談に乗ってくれたこと。当時(’03年