本稿は、文芸同人誌『夏のカノープス vol.1』(夏のカノープス編集部編、2022年)に掲載された「より活発な批評のために——ファンによる『ヒプノシスマイク』試論」(眞鍋せいら)を一部修正したものです。このたび、編集部の許諾を得て、執筆者本人により公開いたします。 (以下本文) 注意:本文中と文末脚注に引用として、女性やトランスジェンダーへの差別発言があります。また、作品のネタバレを含みます。 いつかは書かなければならないのだろうと思っていた。約一年半前から熱をあげている、『ヒプノシスマイク』についてである。ヒプノシスマイク(以下、ヒプマイ)とは、二〇一七年からCD、動画配信、ライブ、コミック、アニメ、舞台などのメディアで展開されている「様々な楽曲を声優が演じながらラップすることにより、音楽を軸に各キャラクターのストーリーが展開していく」「音楽原作キャラクターラッププロジェクト」[i]のこ