3月で開戦から20年となったイラク戦争を受け、日本は2004年から2年半、人道復興支援名目でイラク南部サマワに陸上自衛隊を派遣した。その活動は今もサマワ住民の記憶に残り、撤収後に関係が薄れた日本からの投資を期待する声は多い。ただ、日本の資金協力でサマワに完成した大型発電所は故障で止まり、市内の病院には未使用のまま放置された日本支援の医療機器もあった。現地の豊かな石油資源に絡み、中国やロシア企業の進出も見られた。 一方、イラク戦争後の混乱の中、過激派組織「イスラム国」(IS)が2014年に制圧した北部モスルは、解放されて5年半以上がたつが、激戦の爪痕が深く残っていた。ISの恐怖支配の遺恨や宗派間の分断から帰還できない市民も多く、再興への道のりは遠い。(共同通信=吉田昌樹)