水無月のいわれを探りに、俵屋吉富と京菓子資料館へ 食にまつわる様々な風習がいまも色濃く受け継がれる京都のまち。なかでも、厄除けのご利益があるとして古くから6月30日に食べられてきたのが「水無月(みなづき)」です。 茶席の菓子などを扱う上菓子屋から、“おまんやはん”と呼び親しまれる普段遣いの和菓子店、スーパーの菓子コーナーに至るまで、6月に入るとあちらこちらに水無月が並び、なくてはならない定番という意味では、まるでバレンタインのチョコレートやクリスマスケーキのよう。 ではなぜ京都の人々はこの時期、水無月にこだわるのでしょうか。京菓子の歴史に詳しい老舗でお話を聞きました。6月の京都を訪れるなら、ぜひとも水無月のことを知って、味わい、ご利益にあずかってみてください。 訪ねたのは銘菓「雲龍」で知られる京菓子司「俵屋吉富」。江戸中期の宝暦5年(1755年)に創業し、その長い歴史のなかで公家や茶道三千